【働きやすさ/随筆】厚生労働省が企業の働きやすさ情報をネットで公表に向けてとあるが…

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 本日の日本経済新聞の紙面に、厚生労働省が企業の働きやすさ情報をネットで公表に向けて取組んでいくという記事があった。

 この手の記事を見ると、人によってとらえ方が大きく分かれるのではないか思う。

 もちろん、ぜひ進めてほしい、という意見もあろうかと思う。情報が開示されていないがために、世の中の一般的な傾向がわからないということもあるためである。

 一方で、情報公開だけが単純に進むのも大いに課題があるとも思われる。

 新聞記事では例としてではあるが、数万社の企業の情報として次のような情報が整理・啓示されることが考えられるとされている。

<女性活躍>
・役員・管理職に占める女性の割合
・男女別の育児休業取得率
・採用数に占める女性の割合
・出産後の再雇用の実績
<若者の就労促進>
・35歳未満の社員の離職者数
・メンター(指導者)制度の有無
・有給休暇の平均取得日数
・社内研修制度の内容
<残業時間>
・社員の平均残業時間
・残業についての労使協定の内容
など


 これらの情報が多くの企業で開示・啓示されるのは、世の中の動向を知り、必要な政策を施すうえではとても役立つものであろう。また、就職等を考える若者にとっても判断材料になる。






 しかしながら、一方で、企業の経営者がこの数字の見た目のみを整える方向性に舵を切る、つまり表面だけ取り繕う企業内施策を講じることが大きく想定される。それはあまり好ましい事ではない。

 例えば、有給休暇の平均取得日数を例にとって考えてみる。

 取得率を高めるために、経営者は何を考えるのか。単純には、社内ルールとして、○%取得を社員に義務付けるということを行うであろう。

 そうそれだけ。そこが問題である。業務量を変えずに、一方的に休暇取得の義務だけ付与する、そんな思考をする経営者が大半なのではないか。

 結果として、休暇を取らなくてはならないため、残業の毎日が続くようになる。下手をすると、特に用もないのに有給休暇を取らざるを得ず、そのために他の出勤日が深夜残業の連続となるのである。

 見た目の有給休暇の取得率が高まるが、表面化しない、社員の負担が高まっていくのであろう。

 さらに、企業の各部署では何が起こるのかを考えてみる。業量が変わらないにもかかわらず、休暇の量を増やさなくてはいけない。となると、おじさん世代から、若者への業務の押しつけが一層進むのではないか。

 そもそも業量が多いことが根本的な問題であるのだから、休暇取得量の増加のためには、そうするのが自然な発想であろう。おじさんにとっては。つまり仕事を他者に押し付け、自分の業量を減らす。

 一方で、若者は一方的に業務を押し付けられ、誰かに割り振ることもできずに、自分で抱え込むか、あきらめるか…こうして悪循環に陥っていくのであろう。

 翻って考えると、厚生労働省も担当部署も上記のような企業内の状況や実態はわかっているのであろう。しかし、なぜ、その根本を解決する施策を考えるのではなく、企業の働きやすさ情報をネットで公表という、施策を行おうとするのか。

 それは、それしかできないから、というのが実態ではないか。各民間企業の企業経営に対して、事細かに口出しできる立場でないというが理由であろう。もちろん、法令違反があれば、立ち入り、指導等もできようが…

 では、企業の働きやすさ情報をネットで公表といった施策をしなければいい、何もしなければという考え方もあろう。しかし、厚生労働省も何もしないのは世の中から批判される。

 かくして、それが最善であるとはだれも思っていないが、世の中の労働環境は悪循環に陥っていく…。

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