日本学生支援機構より、大学別の奨学金遅延に関する情報として「学校毎の貸与及び返還に関する情報の公開」

 日本学生支援機構より、大学別の奨学金遅延に関する情報として「学校毎の貸与及び返還に関する情報の公開」が公開されました。
https://www.sas.jasso.go.jp/ac/HenkanJohoServlet

 なお、学校への配慮もあってか、学校ごとに個別に検索しなければデータを閲覧できない形での公表となっている。一覧化されたデータとして公表されると色々と分析できそうなのに…

 それに対して、東洋経済ONLINEが独自集計として下記のような記事を介しています。

独自集計!全大学「奨学金延滞率」ランキング ―最も厳しい大学の延滞率は13.9%にも及ぶ―
http://toyokeizai.net/articles/-/168512

 今回は、東洋経済ONLINEの集計を少し拝借してデータを見てみました。

<目次>
1.貸与終了者数の13.9%が遅延という事実
2.一方で、大学の姿勢も問われる?
3.奨学金制度は大切な仕組みであるけれど…





1.貸与終了者数の13.9%が遅延という事実


 特定の大学だけではあるものの、遅延率が13.9%というのは驚くべき事実でしょう。それだけ、大学卒業後の経済的な環境が良くはないということなのかもしれませんが、そもそも貸与の対象として適切だったのかが問われる数字かもしれません。

 東洋経済ONLINEの集計によれば、全大学の奨学金延滞率の平均値は1.4%ということですから、この13.9%はかなり厳しい数字。さらに、延滞率5%以上の大学も22校とのことです。

 この結果だけ見ても、大学ごとに大きな差異が生まれてしまっています。その大学で学び、卒業しても、奨学金を返済するのが難しい状況に追い込まれてしまうということなのか。もしこの説が正しければ、この情報は、新たな大学の序列化の指標として使われてしまいそうです。


2.一方で、大学の姿勢も問われる?


 東洋経済ONLINEの集計には、過去5年間の貸与終了者数と現在の学生数(在学者数)のデータがあります。単純に、学生数に対する貸与終了者数を算出してみると、状況が少し見えてきます。

 大学の数が600超あり全ての数値を算出したわけではありませんが、上位18校を見てみると下記となります。

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大学名 学生数に対する貸与終了者数割合
至誠館大学 55.8%
芦屋大学 35.2%
日本映画大学 5.4%
鈴鹿大学 89.1%
プール学院大学 70.2%
福岡国際大学 110.4%
清和大学 65.2%
サイバー大学 2.9%
東京女学館大学 257.1%
九州情報大学 133.0%
苫小牧駒澤大学 139.5%
宝塚医療大学 6.7%
日本薬科大学 18.3%
埼玉学園大学 48.2%
沖縄大学 90.7%
札幌国際大学 87.1%
太成学院大学 103.5%
愛知文教大学 36.1%
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 この結果を見ると分かる通り、学生数(在学者数)に対する過去5年間の貸与終了者数の割合が非常に高い。18校の平均値で75.3%もあります。

 ちなみに、遅延者が発生していない大学から11校をサンプリングして同様の数値を算出すると平均値は37.1%となります。

 遅延者の発生割合の高い大学では、学生数(在学者数)に対する過去5年間の貸与終了者数の割合が非常に高いことが分かります。つまり、当該大学では、奨学金に頼る学生が非常に多いことを指しています。

 これって、奨学金をもらうことを前提とした学生しか集められていない大学というようにも読めてしまう…




3.奨学金制度は大切な仕組みであるけれど…


 上記のような点を考えると、奨学金制度は大切な仕組みだと思うけれども、在学生のほとんどが奨学金に頼っている大学であることに違和感を覚えてしまいます。

 その違和感は、一昔流行った、英会話スクールやエステサロンと同様のものです。

 高額な受講料をローンを組んででも前払いさせ、スクールやエステに通わせて…そのような英会話スクールやエステがありましたが、現状の大学はそのような形に近くなっているのかもしれません。