企業の求人は元に戻るのかどうかではなく、元に戻すべきかどうか





 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、多くの企業で経済活動が縮小し、業務量が少なくなっています。業務量が少なくなる = 労働力が余っている、という図式になります。

 そうした状況もあって、帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2019年度)」によれば、「正社員不足は31.0%で人手不足割合が大幅に減少、人手が「過剰」とする割合は急増」などとレポーティングされています。

 特に、視覚的にも衝撃的な状況を示すものとして、「正社員・非正社員の不足割合 (月次推移)」というグラフがります。

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 これを見ると、新型コロナウイルス感染症の流行の始まった2020年1月頃から正社員、非正社員が不足しているとする割合が、それぞれ49.5%、29.4%であったものが、2020年4月には、それぞれ31.0%、16.6%へと急激に減少している。

 新型コロナウイルス感染症の流行という事象があるが故ではあるが、かなり衝撃的な変化です。多くの人が現在、仕事がない状況であるのが実態であろう。
#参考記事:仕事量が減ったから楽になったということがテレワークの実態なのではないのか

 一方で、昨日の2020年5月25日に、緊急事態の解除が宣言されたこともあり、今後は企業の経済活動が再開され、拡大していくことが想定されます。それに伴い、この正社員、非正社員が不足しているとする割合も増加していくものと思われる、というのが一般的な味方なのではないかと思います。

 しかしながら、本当にそれでよいのか?という疑問もあります。

 もちろん、多くの人が適正な労働を獲得し、しっかり働いて適正な対価を得られる社会に戻していくことは重要です。

 ただ、コロナ前の労働環境が適切であったのかどうかは疑わしい。そのため、単純に経済活動を基に戻すという発想では不十分なのではないかと思うのです。

 今回、普通であればあり得ない程、企業内では事業活動が停滞しています。しかし逆に見れば、今までの事業のやり方を見直す良いチャンスなのではないかという意見もあります。

 従来のように人海戦術で、単純作業をこなすといった働き方、仕事のこなし方を、これを機に見直し、例えば事務作業であれば、RPA等のデジタル技術を活用して、従来の人員の半分以下で業務がこなせるようにするなど、業務の遂行方法を見直す機会になりえるのである。

 むしろ多くの人には、もっと高度な、付加価値がある業務に社内であってもシフトさせていく、そんな視点が企業内には求められるのではないかと思うのです。

 こうした考え方、視点は、経営者であれば今回のコロナ禍の中で、色々と考えていることだと思うのです。ただそれを実行に移せるのかが今後問われます。

 今後、数年たった後に、単純に元の働き方や事業活動に戻した企業と、これを機に働き方や事業活動の在り方を見直した企業とで大きな格差が生まれることになるだろうという見方があります。

 恐らくそうなのであろうと。これは変化のきっかけであり、今後、数年後の企業の生き残りを考えた場合のチャンスでもあるのではないか。