21時に閉店してラーメンチェーン「幸楽苑」は大丈夫なのか?





 2020年5月27日、幸楽苑ホールディングス(HD)がラーメンチェーン「幸楽苑」ロードサイド直営店の営業時間を変更し、2020年7月1日から原則21時閉店(深夜帯ニーズが高い一部店舗は22時閉店)にすると発表しています。

 その理由として、同社は、外食業界で顕在化していた人手不足の深刻化、そこに今回の新型コロナウイルス感染症が影響し、中長期的な課題に対する取り組みの一環として深夜営業時間の短縮を決めたとしている。

 「幸楽苑」といえば、醤油・味噌・塩・豚骨など様々な種類のラーメンを手頃な値段で提供するラーメンチェーン店。多くの人が一度はお世話になったお店ではなかろうか。

2020-05-27_0031.jpg

 大人から子供までが美味しくラーメンが楽しめるお店。そんなラーメン屋さんが、21時までの営業に今後シフトしてく。

 しばしばテレビの有名人、また我々の周りの飲み会大好き人間がいう「飲み会のシメとしてラーメンを食べたくなる」との言葉がある通り、ラーメンは比較的、夜から深夜に多くの人が食べにくるとイメージされがちです。

 会社帰りに遅めの夕食、飲み会のシメ、トラックドライバーの夜間の休憩がてらの食事などなど。そんなイメージはありませんか?

 お店にとって、そんなゴールデンタイムに営業しないって、お店は大丈夫なの?と心配してしまいます。

 ところが、この「幸楽苑」の原則21時閉店は、人手不足の深刻化および新型コロナウイルス感染症の影響を考えると、至極、合理的なのかもしれない。

 そもそも、夜から深夜に多くの人がラーメンを食べにくるとイメージがおかしいかもしれないのです。夜間・深夜は、あまり多くの客が来ない中で、人件費や光熱費をかけて少ない売上を獲得していたというのが実態なのかもしれないのです…

 そう考えると、今回の「幸楽苑」の原則21時閉店は、合理的な判断とも考えられるのです。


〇人は夜または深夜にラーメンをどれほど食べるのか?
 そこで、人々がいつラーメンを食べたいと思うのか。食べているのか。ラーメンを食べるタイミングについて調べてみました。

 しかしなかなか由緒正しい調査レポートのようなものは見つかりません。そりゃそうですね。ラーメンをいつ食べますか?っていうことを知りたい人ってあまりいないから…

 しかし、ちょっと古くて、かつウェブアンケートの結果であるため、少し心許ないですが、いくつかの結果をご紹介します。


〇ラーメンについてのアンケート・ランキング
 少々古く、2012年8月10日のアンケート結果です。実施者は@niftyニュースの「何でも調査団」という企画の「ラーメンについてのアンケート・ランキング」です。

 このアンケート調査の設問に「ラーメンを食べるタイミングは?」という設問があるのです。

 この結果によると、回答者の年代にもよりますが、「平日の昼食に」が25~50%程度と最も回答が多い結果となっています。また「休日の昼食に」も30%と高い回答です。

 では、夕食やお酒を飲んだ後はどうなのか?結果を見ると、どちらも10%未満。

 この結果を見ると、実のところ夜にラーメンを食べる人は、それ程多くはないのではないかと推測されるのです。

2020-05-27_0032.jpg

https://chosa.nifty.com/gourmet/chosa_report_A20120810/

〇麺類を食べるのはいつか?
 上記の結果だけでは、少々不安です。ただ同様のアンケート結果は見つかりません。そのため参考情報程度となりますが、人々が麺類を食べるタイミングに関するアンケート結果がありましたので、そちらを見てみましょう。

 こちらは2017年の調査結果で、アサヒグループホールディングスのWebサイトにあった結果です。「麺類はいつ食べる?」という設問の回答結果です。

 この結果を見ると、麺類は圧倒的に「昼食」に食べるという回答が多く、80%に達します。次いで、「夕食」が40%。

 確かに、夕食でも麺類を食べたくなる人も一定程度いると思いますが、主流は昼食であることが分かりますね。

2020-05-27_0033.jpg

https://www.asahigroup-holdings.com/company/research/hapiken/maian/201701/00618/

 さらにさらに、同様の結果が、Webアンケート会社である株式会社アスマークの独自調査「麺類に関するアンケート調査(2014年)」にありました。

 こちらも「麺類を食べるタイミング」という設問があり、「ラーメン」では8割以上の人が「昼食」に食べると回答しているのです。「夕食」との回答は4割程度。深夜に至っては15%程度となる始末。

2020-05-27_0034.jpg

https://www.asmarq.co.jp/data/mr201403noodle/


〇ラーメンは昼が稼ぎ時。売り上げ拡大ではなく、利益重視という経営判断をすると自ずと21時閉店という選択肢もあり
 以上で見てきたとおり、多くの日本人は、ラーメンを昼食として食べたい、食べるものであることが分かりました。なお、夕食としてラーメンを食べたい人は、昼食時と比べると半分程度ですが、存在するのも事実です。

 ただ、同じ時間だけ営業する(つまり人件費や光熱費などをかける)のであれば、昼食時の営業が効率は良いのです。これまで夕食時や深夜の営業をするのは、効率は悪くても、固定費(賃料等)を回収する必要があるので、少しでも売り上げが欲しいという思いがあったためだと思われます。

 ただ、状況は変わりました。

 夜間や深夜の長時間営業に耐え得る人手確保が難しくなってきている。また新型コロナウイルス感染症対策として営業に手間暇が従来以上かかるようになっている。

 こうした昨今の状況を踏まえると、夕食時や深夜の営業は、「たとえ利益が出なくても、固定費(賃料等)を賄うくらいの売上があればよい」ということ自体が成り立たなくなっているものと思われるのです。

 つまり、夜間や深夜にラーメンを売ろうとすると、赤字にしかならない。営業すればするほど赤字に…と。

 そう考えると、今回の幸楽苑ホールディングスのように、営業時間を短くして経費をしっかり押さえつつ、売り上げ拡大ではなく利益重視で、一番稼げる昼間のみに注力するという戦略になるとも考えられるのです。